逗子銀座通りクリニック

逗子市の内科、外科、老年内科 逗子銀座通りクリニック

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認知症外来

認知症外来
高齢者社会で問題となる疾患の中でも認知症は少なくなく、現在、認知症患者は200万人以上、2020年には300万人にも達すると言われています。認知症は年齢と共に増加し、85歳以上では4人に1人が認知症との報告もあります。
 認知症は、「正常に発達した知的機能が後天的な器質性障害によって低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態」と定義されます。アルツハイマーが認知症の代名詞のように思われていますが、実際には色々な原因で認知の障害が起こってきます。
 認知症の確定診断には、種々の高次脳機能検査や画像検査なども重要ですが、日常の生活で認められる思考、行動の変化の評価も重要です。
 

以下に4大認知症と呼ばれる疾患について説明します。

1) アルツハイマー型認知症
1906年 Alois Alzheimerという医師が、南西ドイツ精神医学会で、初老期に発症し、記憶障害、見当識障害、嫉妬妄想などをきたした女性の報告をしたのが最初といわれています。 現在の診断基準は、緩徐に発症し進行する不可逆性の記憶障害、失語、失行、失認、実行機能障害などで、その結果、社会的、仕事上での機能障害が起こるものと規定されます。
中核症状
脳細胞の変化が側頭葉の内側にある海馬と呼ばれる部位から始まります。
海馬は記憶をつかさどる機能を持つため、最近の記憶(数分から数日)が思い出せない、新しいことが覚えられない(記銘力障害)などの症状から始まります。記憶は、新しいことを覚える能力(記銘)、覚えたことを維持する能力(保持)、覚えたことを思い出す能力(想起)からなります。 加齢による物忘れは、想起がうまくいかないために生じますが、認知症では記銘、保持、想起が障害されていて、新しい情報そのものが記憶されにくくなります。 何回も聞き直したり、思い出せないため話が中断してしまったりします。最初は、ごく最近の記憶の障害が主ですが、次第に中期、そして遠隔期の記憶(昔の記憶)も障害されてきます。

認知症が進むと、時間、場所、人などの認識(見当識)が障害されてきます。今日は何日なのか、今どこにいるのか、だれと話しているのかなどを識別できなくなります。外出して帰ってこれなくなったり、自分の家にいても他人の家にいるように思ってしまったりします。目の前にいる人が誰だかわからなくなったり、家族の名前を忘れてしまったりすることもあります。

さらに進行して、側頭頭頂連合野と呼ばれる部位に病気が及ぶと、失語、失行、失認などの高度な脳機能が障害され物事を計画的に行うことができなくなります。さらに、前頭葉に障害が及ぶと、物事を目的のために順序立て行なうことができず、常識的な言動や行動もできなくなることも起こります(抑制機能障害)。

これらの他にも、精神症状や幻覚、せん妄、暴言・暴力などが出現することがあり、これらの症状は総称して、認知症に伴う行動と精神心理症状(BPSD:behavioral and psychological symptoms of dementia)と呼ばれます。
2) レビー小体型認知
最近になって確立された病態です。アルツハイマー型認知症と比較して、初期に見られる記憶障害は、記憶の再生障害が特徴で、その他、注意障害や視空間機能障害などが現れ、問題解決能力が低下してきます。具体的には、認知機能障害の変動が激しいこと(認知機能の動揺性)、生々しい幻視を伴うこと(見えてくるものは人に限らず、動物、虫など様々です)、パーキンソン症状を認めることなどがよく言われています。パーキンソン症状には、小刻み歩行、前傾姿勢、手指の振戦(震え)、仮面用顔貌などが見られます。転倒しやすくなり、一過性の意識消失発作や自律神経障害、睡眠行動の異常なども起こることがあります。また抗精神病薬に対する感受性が高まり副作用が出やすくなることもあり、注意が必要です。
3) 前頭側頭型認知症
 この病態の特徴は、行動障害と人格変化が際立つ前頭葉症候群といわれています。比較的若い人;初老期(64歳以下)に発症することが多く、いわゆる若年性認知症の原因疾患として重要視されています。前頭葉は、物事を組み立てて実行する、物事に興味関心を持つ、反射的・本能的な行動を抑制して理性的にふるまうなど、理論的、理性的行動をコントロールする部位です。そのため、前頭側頭型認知症では、理論的組み立てに基づく行動ができなくなり、また理性によるコントロールがとれてしますことも特徴です。
a) 常同行動 常に決まった行動パターンを取ります。決まった時間に家を出て、決まったところで決まったものを買い、決まった洋服を着ます(執着傾向)。これらの傾向を修正することは容易ではありません。
b) 脱抑制 本能のままに行動する傾向(going my way behavior)が強くなり、普段の行動パターンを遮られると、短絡的に怒り出したり暴力的となることも少なくありません。お店でお金を払わず商品を持ち去ろうとしたり、その場で食べようとしたりします。
C) 被影響性の亢進
何かをしている際、前の人が立ち上がると一緒に立ち上がってしまったり、質問すると、同じ言葉でオウム返しをするなどがこの例です。
その一方で、短期記憶の障害や視空間認知機能の低下は軽度であるため、身体の活動性は保たれることが多いようです。
4)血管性認知症
脳血管障害に伴い起こってくる認知症です。 記憶障害のみならず、意欲の低下、感情失禁などが目立ちます。アルツハイマー型認知症では症状の進行はゆっくりですが、血管性認知症では脳血管障害や脳虚血発作のたびに症状が悪化します。意欲は低下し、悲観的な雰囲気が強くなります。感情失禁は、悲しくないのに泣いてしまったり、おかしくないのに笑ってしまったりもします。脳血管障害ですので、麻痺を伴うことが多いです。
症状チェックリスト

こんなことはありませんか? いくつもあったら要注意です。一度検査を受けてみませんか?
物わすれ
さっき見たテレビの内容を覚えていない
先ほど食べた食事の内容を思い出せない
同じことを何度も言ったり聞いたりする
新しいことが覚えられない
置き忘れが増え、いつも探し物をしている

時間・場所 人がわからない
約束の日時や場所を間違えるようになった
慣れた道でも迷うことがある
会っているのが誰だかわからない

言葉、行動、判断が衰える
うまく言葉が出なくなってきている 
話のつじつまが合わない
簡単な動作ができなくなる (掃除、片づけ、計算など)
テレビ番組の内容が理解できなくなった

その他
最近人柄が変わってきた
ささいなことで怒りっぽくなった
周りへの気づかいがなくなり頑固になった
ひとりになると怖がったり寂しがったりする
食事に興味がなく、食欲がなくなってきた
下着を替えず、身だしなみに気を使わなくなくなった
趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった
人との付き合いをしなくなってきた
ふさぎ込んでいる時間が増えたり、することをおっくうがり嫌がるようになってきた
財布・通帳・宝石などを盗まれたと人を疑う