蜂に刺されたら アナフィラキシーショックにご用心


つい先日、オオスズメバチに刺されて死亡した方のニュースがあったばかりですが、中国では40名が蜂に刺され死亡したとのニュースも飛び込んできました。9月、10月はハチに刺される方が増える季節です。我が国では、スズメバチ、ジカバチ、キバチ、アシナガバチ、マルハナバチ、ミツバチなど約20種類の毒をもったハチがいます。一度目に刺されたときは、痛みや腫れで終わりますが、2回目に刺されるとアナフィラキシーショックをおこし、死に至ることもあります。
ハチに刺された時の症状は、ハチの毒によるものと、毒に対するアレルギー反応によるものがあります。
刺された部位の疼痛、腫れ、発赤そして熱感。
通常、痛みは数時間から1日でなくなり、かゆみを伴うしこりが残り数日で消えます。強い時には何日も痛み、腫れが持続することも少なくありません。
特にスズメバチに多いのですが、刺された際の毒の量、毒性、以前に刺された既往などにもよりますが、全身の蕁麻疹、発熱、さらには呼吸困難、血圧低下などの症状がおこれば緊急対応が必要となります。放置すると短時間のうちに死に至ることもあります。
次の手順で処置を行い、安静にします。20~30分ほど様子を見て、異常がないようならばひとまずは安心です。途中で様子が少しでもおかしいと思ったら、直ちに医療機関に受診してください。
1. | 刺されたらその現場から離れましょう。(巣から他のハチが攻撃に来ることがあります) |
2. | 傷口がわかれば、周囲から圧迫し、刺し口から毒液をしぼり出します。(なかなか難しいですが…) |
3. | ハチ毒は水に溶けやすいので、傷口から毒液をしぼり出す際、水を流しながらするのも効果的と言われています。 |
4. | ハチの針が残っている場合は、指先やピンセットでそっと抜きましょう。 |
5. | 濡れたタオル等を冷やして、安静にする。 |
過去にハチに刺されたことがある方(記憶になくても)、息苦しさ、動悸、吐き気、めまいなど、様子がおかしいと感じたらただちに医療機関を受診するようにしましょう。
小学校の給食でアレルギー反応を起し大事に至った例が報道され、話題になったのも記憶に新しいことと思います。アナフィラキシー(anaphylaxis)とはヒトや哺乳類で認められる急性の全身性かつ重度なI型過敏症のアレルギー反応の一つ。
語源はギリシャ語であるana(反抗して)とphylaxis(防御)を語源とする。従来あるべき防御機構が過剰に反応してしまう、体にとっては防御ではなく攻撃する結果になってしまう状態です。
I型アレルギーとは、即時型過敏性反応をおこします。これには蕁麻疹、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支ぜんそくなどが含まれます。
アナフィラキシーとは、反応が激しく、全身性のものであり、アナフィラキシーショックとは反応が強く、急速な血圧低下によりショック状態を呈したものを示します。
2011年の統計では年間71人の方がアナフィラキシーショックでなくなっていますが、そのうち食品によるものが5名、ハチに関連するものが16名です。
数は少ないものの、起こると大変な病態です。