毎日新聞 1月17日(金) のニュースで浜松市で起きたノロウウイルス集団発生の原因が、給食版工場で作られた食パンが原因であったことが報道されました。その後、他の旅館やホテルでも同様の集団発生が続けて報道されました。感染性胃腸炎は冬場に流行する代表的な感染症です。特にノロウイルスを原因とする場合、集団生活の場で大規模な流行となることもあり、ピークを迎える冬場には特に注意が必要です。 感染性胃腸炎とは、ウイルスなどの微生物の感染が原因となり、腹痛、下痢、嘔気、おう吐、発熱などを主症状とする、胃腸炎の総称です。原因となるウイルスには、ノロウイルス、ロタウイルス、サポウイルス、アデノウイルスなどがあります。ロタウイルスやアデノウイルスによる胃腸炎は、乳幼児に多く、この場合、子供から両親や家族に感染することも少なくありません。 |
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経過と症状:1~2日間の潜伏期間を経て、嘔気、嘔吐、下痢・腹痛、発熱(37℃台)がみられます。ノロウイルスの場合、症状が続く期間は1~2日と短期間ですが、ロタウイルスの場合は5~6日持続することもあります。
ノロウイルスによる感染性胃腸炎は、汚染した食品を介しておこる食中毒と、ヒトからヒトへと感染する2つの感染経路が見られます。
(1) | ノロウイルスを内臓に取り込んだカキやシジミなどの二枚貝を、生または不十分な加熱処理で食べた場合 。冬の牡蠣であたる原因はこのノロウイルスです。 |
(2) | 感染した人の便やおう吐物に触れた手指を介してノロウイルスが口に入った場合 便や吐物は乾燥すると細かな塵と舞い上がり、その塵の中にウイルスがいて、これを吸い込むことで感染が起こります。 感染した人が十分に手を洗わず調理したりすれば、簡単に食品に混入します。 |
ノロウイルスの感染力が強いのは、ウイルス100個以下の少ない量でも感染が成立するためです。症状のある人の便やおう吐物には、大量のノロウイルス:便1g中に1億個以上、おう吐物1g中に100万個以上が含まれているといわれています。
取り扱いが難しいのは、この様に大量のウイルスが存在するため、ちょっとした接触でもかなりの量のウイルスが侵入してしまうため、取り扱いには細心の注意が必要です。
ウイルスが原因の感染性胃腸炎への特異的な治療法はありません。一般的には症状を軽減するための対症療法が行われます。 乳幼児や高齢者では下痢等による脱水症状を生じることがありますので早めに医療機関を受診し、点滴補給することが必要となることもあります。 高齢者では、吐物が肺に入ると誤嚥性肺炎と呼ばれる肺炎を起こすことがあります。 嘔吐の症状がおさまったら少しずつ水分を補給し、安静に努め、回復期には消化の良い食事をとりましょう。
(1) | まずは手洗い。特に排便後、また調理、食事の前には石けんと流水で十分に手を洗いましょう。 |
(2) | 便や吐物を処理する時は、使い捨て手袋、マスク、エプロンを着用し、処理後は石けんと流水で十分に手を洗いましょう。(消毒方法は下記) |
(3) | カキなどの二枚貝を調理するときは、中心部まで十分に加熱しましょう。(中心温度85℃1分以上の加熱が必要です) |
ノロウイルス感染は、学校保健安全法では、出席停止について明記されていません。ただし、非常に感染力が強いため、登園・登校の判断については、おう吐、下痢が完全に治まるのを待って判断することが望ましいと思われます。
一般的に、症状が消失した後も、約1週間は便の中にウイルスが排出される可能性があるため、登校後も手洗いを励行することが大切です。集団の中で生活するには、うつさないエチケットも大切です。
0.02%・・・環境消毒*に使用
0.1%・・・嘔吐物・ふん便が付着した場合の処理に使用
*家庭や施設において、発生時にトイレのドアノブや手すりなど、多くの人が触れる場所の消毒に使用
(注)次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させるため、金属部分に使用した場合は10分程度たったら水拭きしてください。また、塩素ガスが発生することがあるので、使用時は十分に換気をしてください。
濃度(希釈倍率) | 希釈方法 |
0.02%(200ppm) | 2リットルのペットボトル1本の水に10ml (原液をペットボトルのキャップ2杯) |
0.1%(1000ppm) | 500mlのペットボトル1本の水に10ml (原液をペットボトルのキャップ2杯) |
*おう吐物処理の具体的な方法はこちら(家庭向けパンフレット)をご覧ください。
東京都感染症予防センターデータより
都内における感染性胃腸炎の集団感染事例報告件数(平成25年(2013年)第48週まで)